猫を多頭飼いして適切な管理ができない状態に陥ると、家が猫屋敷化してしまう可能性があります。
残念ながら猫屋敷・ゴミ屋敷化した物件は簡単に清掃できません。
今回の記事では、猫屋敷になってしまった家をきれいにするために必要な費用の相場や放置するべきではない問題について詳しくまとめました。
猫屋敷の片付けを考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
猫屋敷・ゴミ屋敷が生まれてしまう理由
猫を飼った経験がある方は分かると思いますが、猫の衣食住の世話の中でもトイレの手入れは頻繁に行わなければいけません。
たとえ飼っている猫が1匹だとしても、1日何回も猫のトイレ掃除をすることになるでしょう。
猫は汚いトイレを嫌がり、トイレがきれいな状態でなければトイレ以外で排泄してしまうのです。
つまり、猫のトイレの清掃を怠るまたはトイレ自体を用意しない場合、猫は家の中でトイレを済ませることになります。
そのような不潔な状態に体が慣れてしまうことで、家中が猫の糞尿で溢れてしまうのです。
また、避妊去勢手術をせずに猫を多頭飼いすると、どんどん猫の数が増えていき、糞尿の量も増加します。
この負のサイクルにより、多頭飼いの猫屋敷が出来上がります。
セルフネグレクトがある方は猫の世話が難しい
自分自身の世話ができない状態を「セルフネグレクト」と呼びます。
セルフネグレクトに陥ると、生活環境や栄養状態が悪くても、その問題を改善する気力・能力が失われてしまいます。
このような状態で、猫の世話をすることは非常に難しいと考えるべきでしょう。
また、認知症や統合失調症などの何らかの病気にかかっている方も、セルフネグレクトに陥りやすいです。
さらにセルフネグレクトの状態の方は、自分にサポートが必要なことに気がつけません。
猫屋敷・ゴミ屋敷を放置するリスク
猫屋敷に暮らしている本人が気にならないのであれば、問題がないとは言えません。
猫屋敷は本人のみでなく近隣住人にとっても大きなリスクを抱えた存在であると考えてください。
健康に悪影響を与える
家中に猫の糞尿が散乱している状態で生活を送れば、健康に悪い影響が出る可能性が高いです。
放置されたゴミはゴキブリやダニなどの温床となり、害虫が繁殖してしまうケースも多いのです。
猫屋敷で健康的・衛生的な生活を送ることは難しく、汚れた空気の中で生活を送る中で、感染症にかかるリスクも高くなるでしょう。
異臭トラブルが発生する
猫の尿に含まれる成分は強烈な異臭を持ちます。ゴミの臭いと猫の糞尿の臭いが混ざることで、住宅内のみでなく近隣住人にも異臭問題に巻き込んでしまうでしょう。
猫屋敷の近くを通るだけで異臭を感じるのは、猫の尿が原因である可能性が高いです。
また、猫の尿の臭いは掃除をしても簡単に落ちません。
清掃にかかる費用が増える
猫屋敷の問題が深刻化するほど掃除が大変になります。
壁や床に染みついた汚れや臭いも、時間の経過とともに落としにくくなるでしょう。
現段階で猫屋敷の問題に気がついた方は、可能な限り早く対応を考えるべきです。
猫屋敷の清掃はプロに任せるべき理由
猫屋敷の清掃を個人で行うことは難しく、十分な清掃ができない可能性が高いです。
その理由は、以下を参考にしてください。
臭いを消し去るためには特殊な処理が必要
ゴミを撤去したり掃除をしたりすることは個人でもできますが、猫の尿に含まれる強い臭いは掃除をしただけでは落とせません。
臭いの元を分解するためには、特殊な薬剤・専門的な技術を使わなければいけないのです。
また、状態が悪い場合は床やクロスを張り替える必要があります。
特に長期間放置された猫屋敷の問題を個人が解決することは、不可能に近いと考えてください。
清掃中に感染症にかかるリスクをなくせる
自分で猫屋敷を清掃すると、猫の糞尿やゴミから舞い上がる空気を吸い込んで感染症にかかる可能性があります。
特殊清掃を行う業者は不衛生な環境での作業に慣れており、マスクや作業服で感染症対策をしながら掃除ができます。
場合によっては猫の亡骸の処理や細菌感染している猫と接点が生まれることから、感染症リスクも考えた上で猫屋敷の清掃方法を検討してください。
フルリフォームと比較して費用を抑えられる
猫屋敷の状態が悪いと、清掃ではなくフルリフォームを考える方もいます。
しかし、4LDKの一軒家をフルリフォームする場合にかかる費用の相場は1,000万円〜4,000万円です。
対して猫屋敷の清掃は、80万円〜依頼できます。
フルリフォームと比較して清掃の方が、大幅にコストを抑えられると考えてください。
猫屋敷の特殊清掃にかかる費用の相場と内訳の例は、次で詳しく説明します。
猫屋敷の特殊清掃にかかる費用の相場と内訳の例
この章では、猫屋敷の特殊清掃にかかる費用の相場の詳細について説明します。
先ほどと同じように、4LDKの一軒家をフル清掃した場合にかかる費用の内訳を一覧にしました。
- 床上清掃:3万円〜
- 浴室清掃:3万円〜
- 糞除去作業:3.5万円/1人
- 家財拭き取り作業:3.5万円/1人
- 作業員人件費:2万円/1人
- 壁紙剥がし作業:3.5万円/1部屋
- 床解体作業:3.5万円/1部屋
- フェロモン臭分解作業:10万円/1部屋
- 雑菌消毒・除菌作業:3.5万円/1部屋
- 特殊コーティング:10万円/1部屋
- オゾン脱臭機を使った完全消臭作業:2万円〜/1日
部屋の数や作業内容によって異なるものの、猫屋敷の清掃には80万円〜の費用が必要だと考えてください。
特殊清掃をすれば、家の柱や床下に染み込んだ汚れ・臭いも取り除けます。
猫屋敷の清掃を依頼する業者の選び方
猫屋敷の清掃を依頼する業者を選ぶ時には、次のポイントを意識してください。
ペットの消臭技術を持っているか
特殊清掃業者でも、ペットの消臭技術を持っていない業者もあります。
猫屋敷の清掃には、ペット消臭に特化した技術が必要です。
「オゾン脱臭機で臭いを取り除く」ことをアピールする業者は多いですが、実際には事前に十分な清掃を済ませておかなければオゾン脱臭機の効果が発揮されません。
過去の実績や口コミを確認しながら、部屋を美しくするだけでなく臭いの対応も頼める業者を選んでください。
また、業者によっては、ホームページなどで独自のペットの消臭技術について事例を含め詳しく説明しています。
さまざまな情報を集めながら、信頼できる技術を持つ業者を探しましょう。
見積価格が相場であるか
先ほど紹介した猫屋敷清掃に必要な費用の相場と、大きくかけ離れた金額の見積もりを提出する業者には注意しましょう。
相場よりも安過ぎる費用を提示してくる業者は、安さを売りにする何らかの理由がある可能性が高いです。
猫屋敷清掃には特殊な技術・薬品のみでなく、人件費がかかります。
値段だけで業者選びをすると、期待する結果が得られない可能性があるでしょう。
猫屋敷・ゴミ屋敷清掃の流れ
プロに猫屋敷の清掃を任せた時には、次のような流れで話が進みます。
猫屋敷の清掃を考えている方は、参考にしてください。
1.現地訪問・見積もり
誠実な業者では電話やメールのやり取りのみでなく、現地訪問をして正確な見積もりを作ります。
口頭の説明のみでは、ゴミの量や部屋の広さ・部屋の状況を確認することが難しいためです。
清掃業者を探す時には実際に部屋の状態を見てもらい、正確な見積もりを得られるようにしてください。
この際、複数の業者から相見積もりを集めて、費用のみでなく業者の対応も比べることをおすすめします。
2.家の中のゴミを撤去する
清掃を始める前に、室内にあるゴミを全て撤去していきます。
猫の亡骸が混ざっている可能性がある場合は、猫の亡骸の回収・埋葬も依頼できる業者を選びましょう。
また、不用品買取に対応している業者では、価値がある不用品の買取も依頼できます。
3.清掃
家の中が掃除できる状態になってから、清掃作業が始まります。
猫は床のみでなく家具の上や隙間にも糞をする可能性があるため、隅から隅まで細かな清掃が実施されます。
隙間に入り込んで固まってしまった糞は、スチーマーなどでふやかしてから除去します。
4.消臭・除菌
糞や尿を除去しても、室内に残った臭いは消えません。
清掃業者は特殊な薬剤を使用して、臭いを分解していきます。
消臭・除菌作業に活用される薬剤や技術は、業者ごとに独自の方法を採用しているケースが多いです。
5.壁紙や床の撤去・張り替え
壁や床の汚れがひどく臭いを取り除けない場合には、壁紙・床材を張り替えます。
また、特殊なコーティングをして臭いのもとを抑える手段が選択されるケースもあります。
部屋の状態により必要な対応が異なることから、見積もりの段階で作業内容を確認しておきましょう。
6.家全体の消臭
清掃と消臭や除菌などの作業が全て完了したら、仕上げとしてオゾン脱臭機などを活用し、住宅全体を消臭します。
十分な処理を完了してない状態でオゾン脱臭機を使用しても、期待する効果は得られません。
オゾン脱臭機は仕上げとして使うものであることを知っておいてください。
清掃業者は空間の面積に合わせて、オゾン脱臭機の台数を調整します。
友人や家族の家が猫屋敷になってしまった時にできること
離れて暮らす家族や友人の家が猫屋敷化してしまった時には、次のようなアプローチで改善を促しましょう。
猫屋敷での生活を放置すると、より問題が深刻化する恐れがあります。
話し合いの場を設ける
猫屋敷に暮らしている方は、孤独感・喪失感を抱えているケースが多いです。
心の問題を解決することは難しいですが、コミュニケーションを通じて相手の悩みに寄り添ってあげましょう。
話し合いの難易度が高いと感じた時には、カウンセラーや心理士にサポートを求めるべきです。
すでに住まいが猫屋敷化している方は、一人で問題を解決することが難しいと考えて行動してください。
プロに依頼して猫屋敷問題を解決する
猫の世話が難しい状態の方が、自力で猫屋敷を改善することは非常に難易度が高いと言えます。
一度生活を立て直すためにも、プロに猫屋敷の清掃を依頼して再スタートするべきです。
本来の生活環境を取り戻し適切なサポートを得ることで、また住まいが猫屋敷化してしまうリスクを少なくできます。
また、どうしても自分で問題を解決したいと考えている方は、一度に全てをリセットするのではなく、1部屋ずつまたは1区画ずつなど段階的に片付けを進めていきましょう。
段階的な整理であれば、心理的なストレスを最小限に抑えて状況を改善できる可能性があります。
まとめ
猫屋敷・ゴミ屋敷化してしまった住宅には、感染症や異臭などさまざまなリスクが潜んでいます。
その状態を住人が自分で解決できる可能性は低く、何らかのサポートが必要だと考えるべきでしょう。
また、猫の尿に含まれる臭いは非常に強く、個人でできる対応には限界があります。
ペット消臭に詳しい特殊清掃業者に片付けを依頼して、ゴミや糞尿のみでなく臭いの問題も解決してください。
特殊清掃業者での清掃には一定のコストがかかりますが、フルリフォームをするよりも手頃な価格で家を本来の姿に変えられます。
必要な費用を把握するためにも、猫屋敷の対応に困っている方は、まずプロに相談してみると良いでしょう。