「見たことのない虫が現れて怖い」
「近隣から苦情が来て困っている」
ゴミ屋敷になってしまった部屋で、このような害虫の悩みを抱えていませんか?
ゴミ屋敷で多くの害虫が発生することで、健康被害や近隣トラブルなどの問題に発展する恐れがあります。
本記事ではゴミ屋敷に発生する害虫の種類から駆除方法、健康リスク、そして再発防止対策まで詳しく解説します。
害虫の問題で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ゴミ屋敷に湧く害虫の種類8選
ゴミ屋敷にはさまざまな種類の害虫が発生します。
ここでは、とくに発生率が高く注意が必要な8種類の害虫について詳しく解説します。
- ハエ・コバエ
- ゴキブリ
- ヒメマルカツシムシ
- アシダカクモ
- チャタテムシ
- カミキリムシ(テッポウムシ)
- シミ
- ウジ虫
ハエ・コバエ
ハエ・コバエは、ゴミ屋敷において高い確率で発生する害虫です。
体長は6 mm〜8mmと小さく、犬を上回る嗅覚で生ゴミの腐敗臭や配管の悪臭を察知して、わずかな隙間から侵入してきます。
わずか2週間で卵から成虫へと急速に成長して、爆発的に増殖するのが特徴です。
国際研究チームによると、ハエは胃がんのリスク要因であるピロリ菌をはじめとした、数百種類の細菌を保有していることが確認されています。
排水管や生ゴミのわずかな臭いにも反応して集まり、汚染された場所で産卵を繰り返すため、放置すれば家全体が不衛生な環境となるでしょう。
ゴキブリ
ゴミ屋敷には多くの場合ゴキブリが生息しており、特にチャバネゴキブリとクロゴキブリが頻繁に確認されます。
体長は30mm程度が一般的で、高温多湿で暗い場所を好みます。
雑食のため、食べこぼしや生ゴミはもちろん、人間の皮膚片・毛髪・段ボールまで栄養源としており、わずかな餌でも長期間生存することが可能です。
約3億年前から存在する「生きた化石」と称されるほど生命力が強く、1匹のメスが一生に大量の子どもを産むため、「1匹いれば100匹いる」と警戒されています。
換気不良でジメジメした環境なら水場以外でも繁殖するため、家庭のさまざまな場所で発生する恐れがあります。
ゴキブリのフンや死骸によってアレルギーや喘息が引き起こされる場合もあり、数千匹規模で発生することもあるゴミ屋敷はとくに危険な環境です。
ヒメマルカツシムシ
ヒメマルカツシムシは、その名の通りカツオ節を好む害虫で、ゴミ屋敷特有の虫ともいえます。
カツオ節以外にも穀物や豆類などの乾燥食品、羊毛や絹製品も食害対象とするため、衣類に虫食いの穴を開けたり、食品へ混入したりすることもあります。
クローゼットやタンスの中、長期保存食品の容器内で発見されることが多く、床に散乱した衣類や食品が豊富なゴミ屋敷は増殖しやすい環境と言えるでしょう。
注意すべきは、見慣れないピンク色の小さな虫を発見した場合で、この虫はヒメマルカツオブシムシの幼虫である可能性が高いです。
幼虫の出現は、部屋がゴミ屋敷レベルに達している重要なサインとなります。
大切な衣類や食品を台無しにしてしまう恐れもあるため、ヒメマルカツシムシには十分に注意しましょう。
アシダカクモ
アシダカグモは体長10cm〜15cmにもなる大型のクモで、足を広げると手のひらサイズになることもあり、その迫力に驚く人も多いでしょう。
ゴキブリ・ハエ・蛾・蚊などの害虫を積極的に捕食する「益虫」に分類されており、数匹いるだけでゴキブリを全滅させるほどの駆除能力を持っています。
人間に害は与えず、むしろ害虫退治の頼もしい味方といえるでしょう。
しかし、アシダカグモの存在は餌となる害虫が豊富にいることの証拠でもあります。
このクモを目撃した場合、ゴミ屋敷の状況がかなり深刻なレベルに達していると判断できるでしょう。
アシダカグモ自体は放置しても問題ありませんが、その餌となっている大量の害虫こそが真の問題であり、根本的な環境改善が必要です。
チャタテムシ
チャタテムシは1mm〜2mm程度の小さな虫で、ダニと見間違えられることも多い茶色の害虫です。
お米や小麦粉などの穀類に発生することが多く、カビや床の食べこぼし、人のフケ、書籍の糊などを栄養源とします。
高温多湿でホコリが蓄積した環境を好むため、布団の下やクローゼット、本棚などに潜伏していることが多いでしょう。
また、チャタテムシはメス単体での繁殖が可能という珍しい生き物とされています。
チャタテムシ自体は人を刺咬せず毒性もありませんが、チャタテムシを捕食するツメダニは人を刺して皮膚炎を引き起こすこともあります。
こまめな換気にしてカビを防ぐことで、チャタテムシが発生しない環境を作りましょう。
カミキリムシ(テッポウムシ)
カミキリムシは通常、屋外の雑木林や樹木に生息していますが、ゴミ屋敷に侵入する場合もあります。
体長13mm〜23mm程度で、長い触角と髪の毛も切断できるほど強靭な顎を持つのが特徴です。
主に木を主食としており、家の柱や天井などの構造材を内部から食い荒らすため、建物の耐震性や安全性に影響を与える恐れがあります。
また、明かりに集まる性質があるため、夜間の照明に引き寄せられて民家に接近することもあるでしょう。
シミ
シミは銀色に光る魚のような形をした虫で、夜行性のため夜中に遭遇することが多い害虫です。
体長8mm〜10mmで、3本の長い尻尾と触角を持つ特徴的な外見をしており、その奇妙な見た目に驚く人も少なくありません。
シミは漢字で「紙魚」と書くように、書籍や新聞などの紙類を主食としているため、本や書類の山に潜んでいることが多いでしょう。
壁と床の隙間、フローリングの割れ目など、わずかな隙間を移動経路として利用しており、散乱した紙類が豊富なゴミ屋敷では頻繁に目撃されます。
また、シミは寿命が7年〜8年と長く、何も食べなくても1年程度生存できる強い生命力を持っています。
人を刺したり噛むことはないですが、生息環境は高湿度で不衛生な場所であることが多く、シミの存在は室内環境の悪化を示すサインです。
ウジ虫
ハエの幼虫であるウジ虫は、ゴミ屋敷の中でも特に深刻な状況の際に発生します。
体長1cm程度で半透明の米粒のような形をしており、一般家庭で目撃することは稀です。
親のハエは排泄物、腐敗した生ゴミ、動物の死骸などの強烈な臭いに引き寄せられ、1回の産卵で50個〜100個以上もの卵を産み付けます。
卵は半日から数日で孵化し、サナギを経て約2週間で成虫のハエへと成長します。
ウジ虫が発生した場合は、一般的な掃除では対処できない非常事態のサインです。
他の害虫と比べ出現頻度は低いものの、健康被害を及ぼすなど危険度も高いため、専門業者による早急な対応が必要となります。
ゴミ屋敷に虫が発生する理由
なぜゴミ屋敷では害虫が大量に発生してしまうのでしょうか?
ここでは、具体的な理由について説明します。
- 生ゴミが多い
- 虫が隠れるスペースが多い
- 虫が繁殖しやすい環境
生ゴミが多い
ゴミ屋敷に害虫が発生する原因には、豊富な餌となる生ゴミの存在があります。
ハエ、ゴキブリ、チャタテムシなどの害虫は、食べ残しや調理ゴミを主要な栄養源としています。
食事の残飯や食べこぼしが床に散乱していたり、腐敗した野菜や肉の切れ端が放置されていたりする場所は、害虫にとって理想的な環境と言えるでしょう。
特に、キッチン周辺は水分と栄養が豊富で、害虫の繁殖に最適な条件が揃っているため危険なエリアとされています。
部屋全体に食べカスが散らばり、水回りが不衛生なゴミ屋敷では、害虫が餌に困ることはなくなるため、さまざまな害虫が次々と集結してしまうのです。
虫が隠れるスペースが多い
ゴミ屋敷は害虫にとって絶好の隠れ場所を提供します。
積み重なったゴミ袋の隙間や散乱した書類や雑誌の下、脱ぎっぱなしの衣類の中、家具と壁の隙間など、無数の隠れ場所が存在します。
通常の家では、害虫は冷蔵庫の後ろや食器棚の片隅など限られた場所にしか身を潜められませんが、床一面に物が散乱したゴミ屋敷では、家中のあらゆる場所が安全な避難所です。
このため、大量の害虫が住み着いていても発見が難しく、気づかないうちに繁殖が進行してしまいます。
物を少し移動させただけで害虫が大量に這い出てくる光景は、ゴミ屋敷では珍しくない現象です。
虫が繁殖しやすい環境
ゴミ屋敷は害虫の繁殖に最適な条件が揃っています。
高温多湿な環境や換気が不十分で空気が淀んでいる状態、掃除をしないため卵や幼虫が駆除されない環境などは、害虫にとって理想的な環境です。
長期間放置されたゴミ屋敷では、害虫がその場に定着して産卵を繰り返します。
孵化した幼虫が成虫となり、さらに産卵するという世代交代が無制限に続くため、個体数は自然と増加するでしょう。
ハエは2週間で卵から成虫へと成長し、ゴキブリは1匹のメスが生涯で500匹もの子孫を残します。
コバエが増えれば、それを餌とする他の害虫も集まってくるため、食物連鎖が室内で発生する場合もあるでしょう。
こうした驚異的な繁殖力により、短期間で家中が害虫だらけになってしまうのです。
ゴミ屋敷で発生した虫を自力で駆除する方法
害虫の発生が軽度であれば、自力での駆除も可能な場合があります。
しかし、駆除する際には近隣への影響を考慮した上で、片付け作業前に実施することが重要です。
自力で駆除する際の手順は以下の通りです。
- 駆除したい害虫に適した薬剤を用意する
- 可能な範囲で部屋を片付ける
- 窓や換気口を閉め、害虫の出入りを防止する
- タンスや戸棚の扉を開放する
- 煙に反応しないように、火災報知器をビニール袋で保護する
- ソファや衣類など保護すべき物品をビニールで覆う
- 食品は煙に触れない場所に移動させ、ペットは室外に避難させる
- くん煙剤を室内中央に設置して、商品パッケージの指示に従って使用する
- 煙が発生したら即座に退室して、2~3時間完全に密閉した状態を維持する
- 一定の時間が経過した後、十分に換気する
- 死骸を掃除機などで除去する
市販駆除剤では対処できない害虫も存在するため、駆除材を購入する際は、対象の害虫への有効性を必ず確認しましょう。
ゴミ屋敷で発生した虫による健康リスク
害虫は見た目の不快感だけではなく、健康をおびやかすリスクもあります。
ゴミ屋敷の害虫は腐敗した生ゴミや汚染された排水口を移動しているため、体表や消化管に大量の病原体を保有している可能性が高いでしょう。
ハエやゴキブリが媒介する主な病原菌には以下のものが存在します。
- 嘔吐や下痢を引き起こすサルモネラ菌
- 胃がんのリスク要因であるピロリ菌
- 高熱や激しい下痢をもたらす赤痢菌
- 発熱や黄疸を伴うA型肝炎ウイルス など
こうした病気は、害虫に直接触れなくても、害虫が歩行した場所や排泄した箇所を通じて感染する恐れがあります。
さらに、害虫の死骸やフンが空気中に舞うことで、皮膚のかゆみ・湿疹・鼻炎・喘息気管支炎などの呼吸器系疾患を引き起こすこともあるでしょう。
ゴミ屋敷の虫は人体に深刻な害を及ぼすリスクがあるため、決して放置してはいけません。
ゴミ屋敷で発生した虫によるトラブル
害虫問題は個人の問題にとどまらず、周囲を巻き込んだトラブルに発展することがあります。
トラブルの例は以下の2つです。
- 隣人トラブルが発生する
- 退去時に高額の修繕費を請求される
順に解説していきます。
隣人トラブルが発生する
害虫は室内に留まらず、近隣住宅への拡散により深刻な地域問題を引き起こす場合があります。
集合住宅では害虫がベランダや配管、換気口を通じて隣接する部屋や上下階に侵入する場合があります。
また、一軒家では敷地面積が広い分、発生する害虫の数も膨大となり、庭や外壁を伝って近隣住宅全体に被害が及ぶでしょう。
こうした状況は管理会社への苦情や自治体への通報に発展していき、最終的には退去勧告や法的措置の対象となる恐れもあります。
近隣との関係性が悪化することで居住が難しくなるケースもあるため、大規模なトラブルに発展する前の対策が不可欠です。
退去時に高額の修繕費を請求される
賃貸住宅がゴミ屋敷化した場合、退去時に高額な修繕費用を請求される場合があります。
害虫のフンによる壁紙の汚損・変色、床材へ浸透した悪臭、害虫による木材の食害など、害虫の被害は広範囲に及びます。
こうした場合、通常のハウスクリーニングだけでなく、壁紙の全面張り替えやフローリングの交換、場合によっては畳の全面入れ替えが必要となるでしょう。
総額で50万円以上請求される場合もあるため、害虫への対策は早めに実施するべきです。
虫を駆除した後に再発を防ぐ方法
害虫を駆除しただけでは根本的な問題は解決しません。
ここでは、再発を防ぐための方法を4つ紹介します。
- 部屋を清潔な状態に保つ
- 業者の定期プランを利用する
- 除湿を心がける
- 防虫スプレーやトラップを使用する
部屋を清潔な状態に保つ
害虫の再発を防ぐために重要なのは、害虫が発生しない環境作りです。
具体的に意識すべき点は以下のとおりです。
- 毎日のゴミ出しで生ゴミを翌日まで持ち越さない
- 食べこぼしはすぐに拭く
- シンクや排水口を毎日清掃して水回りを清潔に保つ
- 1日最低2回各30分程度は換気する
- 週2~3回の床の掃除機かけ など
特に、キッチン周りや洗面所・浴室、ゴミ箱周辺、食品庫・冷蔵庫内は重点的に清掃しましょう。
害虫駆除を実施しても、物が散乱して通気性の悪い環境が続けば、再発する可能性は高まります。
駆除した後は生き残った個体や見落とした卵からの再繁殖を防ぐため、部屋全体の徹底的な清掃と継続的な清潔が不可欠です。
業者の定期プランを利用する
自力での清掃が難しい場合は、業者の定期プランが効果的です。
多忙な生活や体調不良、うつ状態、片付けが苦手などの理由で継続的な清掃が困難な方にとって、定期プランは最適な解決策といえます。
業者に依頼するメリットは以下のとおりです。
- プロによる丁寧な清掃
- 害虫発生の早期発見
- 継続的な環境改善
- 精神的負担の軽減
- 再発防止のアドバイス など
自力での清掃が難しいと感じた場合は、迷わず業者の利用を検討しましょう。
除湿を心がける
湿度管理は害虫対策の基本中の基本です。
家庭に発生する害虫の多くは高湿度の環境を好むため、湿度が高いだけで害虫の発生リスクが大幅に増加します。
以下で具体的な除湿対策を紹介します。
- リビングや寝室に除湿器を設置する
- 料理中や入浴後には換気扇を必ず稼働する
- 窓の結露は毎朝拭き取る
- 除湿器だけでは対応できないクローゼット・押入れ・靴箱などの収納スペースには、専用の除湿剤を配置する
湿度管理は害虫の発生を抑制するだけでなく、カビの繁殖も同時に防げるため、室内全体が衛生的になるでしょう。
防虫スプレーやトラップを使用する
防虫スプレーやトラップを使用した対策も効果的です。
室内を清潔にしても、外部からの害虫侵入リスクは完全には排除できません。
各エリアに適した防虫アイテムを設置することで、害虫の侵入と繁殖を効果的に防ぐことが可能です。
具体的なアイテムは以下のとおりです。
- キッチン:流し台用防虫剤、排水口ネット
- リビング・寝室:天然ハーブの虫よけ、置き型防虫剤、スプレー式防虫剤
- トイレ・浴室:排水口用防虫剤、換気扇フィルター など
清掃と駆除だけでなく、継続的な予防措置により、快適で衛生的な住環境を長い間維持することが可能です。
まとめ
ゴミ屋敷に湧く害虫の種類や虫が発生する理由、健康リスクについて解説しました。
ゴミ屋敷に発生する害虫は、単なる不快感を与えるだけでなく、深刻な健康被害や社会的トラブルの原因となります。
自力での対処が難しいと感じた場合は、迷わず専門業者に相談することをおすすめします。
害虫駆除と片付けを同時に行える業者なら、根本的な問題解決が可能です。
まずは小さなことから始めて、徐々に清潔で快適な生活環境を取り戻しましょう。