この記事でわかること
- ゴミ屋敷化したアパートで大家が負う主なリスク
- 入居者を退去させられる条件と「信頼関係の破壊」の考え方
- 注意喚起から強制執行までの7ステップ
- 大家がやってはいけないNG行為と法的リスク
- 退去後の片付け費用の目安と原状回復の負担区分
入居者に貸していたアパートの一室が、いつの間にか足の踏み場もない状態になっていた。
こうした相談は、賃貸経営をしている大家にとって決して珍しいものではありません。
異臭や害虫が発生すれば、近隣住民から苦情が入り、ほかの入居者の退去につながることもあります。
一方で、賃貸借契約がある以上、大家が勝手に部屋へ入ったり、荷物を処分したりすることはできません。
手順を誤ると、大家のほうが損害賠償を請求されるおそれもあります。
この記事では、アパートがゴミ屋敷になったときに大家が取るべき対処法と、入居者を退去させるまでの流れ、退去後の片付け費用や原状回復の負担区分までを解説します。
賃貸アパートがゴミ屋敷になったとき大家が抱えるリスク

ゴミ屋敷化した部屋を放置すると、被害は入居者本人の部屋だけにとどまりません。
建物全体の衛生環境や安全性、さらには賃貸経営そのものに影響が広がります。
主なリスクは次のとおりです。
- 悪臭・害虫による近隣トラブル
- 床・壁・設備の損傷と修繕費の増加
- 火災や漏水などの事故と賠償責任
- ほかの入居者の退去と空室率の悪化
いずれも放置期間が長いほど深刻化するため、早期の状況把握が欠かせません。
悪臭・害虫で近隣トラブルにつながる
生ゴミや汚れた衣類が室内にたまると、腐敗臭が壁のすき間や換気口を通じて隣室や共用部に広がります。
ゴキブリやハエ、ネズミなどの害虫・害獣も発生しやすくなり、隣の部屋へ侵入することもあります。
共同住宅であるアパートでは壁一枚で生活空間が隔てられているため、被害は当事者以外の入居者にも及びます。
苦情の窓口は大家や管理会社になるため、対応に追われる負担も小さくありません。
床・壁・設備が傷み原状回復費用がかさむ
ゴミの重みや湿気が続くと、フローリングの変色や腐食、壁紙のカビやシミが進みます。
エアコンや給排水設備に異物が入り込み、故障や詰まりの原因になることもあります。
| 箇所 | 起こりやすい被害 |
|---|---|
| 床 | 変色・腐食・たわみ、下地材への臭いの染み込み |
| 壁・天井 | カビ・シミ・臭い移り、壁紙の破れ |
| 設備 | エアコンや換気扇の故障、排水口の詰まり |
損傷が下地や床下まで進むと、表面の張り替えだけでは済まず、原状回復費用が大きく膨らむ原因になります。
火災や漏水などの事故につながる
紙類や衣類が積み重なった部屋は燃えやすく、いったん出火すると延焼が広がりやすい環境です。
コンセント周りにホコリがたまると、トラッキング現象による発火のリスクも高まります。
ゴミで避難経路がふさがれれば、入居者本人の避難も難しくなります。
排水口の詰まりから水漏れが起き、下の階へ被害が及ぶケースもあります。
事故の状況によっては、大家が建物の管理責任を問われる可能性も否定できません。
ほかの入居者の退去や空室率の悪化を招く
隣室からの異臭や害虫が続けば、ほかの入居者が更新をせずに退去することがあります。
内見の際に臭いや害虫の痕跡に気づかれれば、新たな入居者も決まりにくくなります。
空室が続けば家賃収入が減り、周辺相場より賃料を下げざるを得なくなることもあります。
一部屋の問題が、物件全体の収益と資産価値に影響するのがゴミ屋敷問題の怖さです。
アパートのゴミ屋敷に気づいたら大家がまずすべき初期対応

異臭や苦情でゴミ屋敷化に気づいても、いきなり部屋に入ったり退去を迫ったりするのは逆効果です。
まずは事実を確認し、後の交渉や法的手続きに使える記録を整えることから始めましょう。
入居者・近隣・管理会社から状況を聞き取る
最初に、関係者から状況を聞き取ります。
本人をいきなり問い詰めるのではなく、複数の情報源から実態を把握することが大切です。
- 管理会社に過去の苦情や連絡の履歴を確認する
- 近隣住民に異臭や害虫に気づいた時期と内容を聞く
- 入居者本人に生活状況や困りごとを尋ねる
入居者が高齢の方や、病気・障害を抱えている方の場合、自力で片付けられない事情があることも少なくありません。
高齢の入居者であれば、地域包括支援センターなど自治体の福祉窓口に相談できるかどうかも確認しておくと安心です。
賃貸借契約書と特約を確認する
次に、手元の賃貸借契約書を確認します。
多くの契約書には「近隣に迷惑をかける行為」や「物件の汚損・毀損」を禁止する条項が設けられています。
ゴミ屋敷化はこうした条項に違反する可能性があり、改善を求める根拠になります。
- 使用目的や禁止行為に関する条項
- 契約解除の条件と通知方法
- 退去時の原状回復や残置物の扱い
- 連帯保証人・家賃保証会社の有無
特約がない場合でも、民法上の用法遵守義務や善管注意義務の違反を主張できる場合があります。
写真・苦情・やり取りを記録に残す
記録は、後の交渉や裁判で大家の主張を裏付ける最も重要な証拠です。
口頭のやり取りだけでは「言った・言わない」の水掛け論になりかねません。
次の項目を、日付が分かる形で継続的に残しておきましょう。
| 記録するもの | ポイント |
|---|---|
| 外観・共用部の写真や動画 | 撮影日時が分かるように残す(室内は無断で撮影しない) |
| 近隣からの苦情 | 日時・申告者・内容をメモし、可能なら書面でもらう |
| 入居者とのやり取り | 注意は書面やメールで行い、電話は日時と内容を記録する |
| 臭いや害虫の状況 | 発生場所と程度、時期をメモに残す |
時系列で記録を積み重ねることで、状態の悪化や改善要求を無視し続けた経緯を客観的に示せます。
管理会社・自治体・専門家に相談する
大家一人で抱え込まず、状況に応じて専門家の力を借りることも大切です。
| 相談先 | 主な役割 |
|---|---|
| 管理会社 | 入居者への連絡・注意喚起、苦情の窓口 |
| 自治体 | 条例に基づく指導、福祉的な支援へのつなぎ |
| 弁護士 | 契約解除の判断、明渡請求訴訟・強制執行の対応 |
| 片付け・清掃業者 | 退去後の残置物撤去、清掃、消臭・害虫駆除 |
足立区のように、いわゆる「ごみ屋敷条例」を設けて調査や指導、支援を行う自治体もあります。
物件の所在地の自治体に、相談窓口があるか確認しておくとよいでしょう。
ゴミ屋敷を理由にアパートの入居者を退去させることはできる?

結論から言うと、ゴミ屋敷であるというだけで入居者をすぐに退去させることはできません。
借地借家法によって借主の居住は強く保護されており、大家からの契約解除は簡単には認められないためです。
ただし、一定の条件がそろえば、契約解除と明け渡しが認められる可能性があります。
契約解除の判断基準は「信頼関係の破壊」
賃貸借契約の解除では、裁判例で確立された「信頼関係破壊の法理」が重視されます。
これは、単に契約違反があるだけでは足りず、貸主と借主の信頼関係が壊れ、契約を続けることが困難といえる場合に限って解除を認める考え方です。
裁判所は、次のような事情を総合的に見て判断します。
- 近隣への実害(悪臭・害虫など)の程度
- 大家からの改善要求の回数と、それに対する入居者の対応
- 火災や衛生面など安全への影響
- 家賃滞納など、ほかの契約違反の有無
用法遵守義務・善管注意義務違反にあたる場合がある
借主には、契約や物件の性質で定められた方法に従って使用する「用法遵守義務」があります(民法616条・594条1項)。
また、借りた物件を善良な管理者の注意をもって保管する「善管注意義務」も負っています(民法400条)。
ゴミを大量にため込み、床や壁を傷めたり害虫を発生させたりする行為は、これらの義務に違反すると判断される可能性があります。
義務違反が重大で、信頼関係が壊れていると認められれば、契約解除の正当な理由になり得ます。
契約解除が認められやすいケース
次のような事情が重なるほど、信頼関係が破壊されたと判断されやすくなります。
| ケース | 判断で重視される点 | 残しておきたい証拠 |
|---|---|---|
| 悪臭や害虫で近隣に被害が出ている | 被害が当事者以外に及んでいるか | 苦情の記録、被害状況の写真 |
| 火災などの危険性が高い | 可燃物の量や避難経路の状況 | 外観・共用部の写真、消防等からの指摘 |
| 建物や設備に損傷が出ている | 建物本体への実害の有無 | 損傷箇所の写真、修繕見積書 |
| 再三の改善要求に応じない | 改善の機会を十分に与えたか | 内容証明郵便の控え、配達証明 |
| 家賃滞納など別の違反もある | 違反が複数重なっているか | 入金記録、督促の記録 |
改善の機会を与えたにもかかわらず応じなかった経緯を示せるかどうかが、裁判で結果を左右する大きなポイントです。
家賃滞納を伴う場合は、一般に3か月程度以上の滞納が解除の目安とされることが多いものの、最終的には個別の事情で判断されます。
ゴミ屋敷の入居者を退去させるまでの流れ【7ステップ】

無断で部屋に立ち入ったり荷物を処分したりできない以上、大家は段階を踏んで手続きを進める必要があります。
全体の流れは次のとおりです。
| ステップ | 内容 | 主な対応者 |
|---|---|---|
| STEP1 | 状況と被害を確認する | 大家・管理会社 |
| STEP2 | 口頭で片付けを求める | 大家・管理会社 |
| STEP3 | 内容証明郵便で期限付きの改善を求める | 大家・管理会社 |
| STEP4 | 話し合いによる任意退去を検討する | 大家・弁護士 |
| STEP5 | 賃貸借契約を解除する | 大家・弁護士 |
| STEP6 | 建物明渡請求訴訟を起こす | 弁護士 |
| STEP7 | 強制執行を申し立てる | 弁護士・執行官 |
多くのケースは、ステップ2〜4の段階で解決します。
訴訟や強制執行は時間と費用がかかるため、できるだけ話し合いの段階で解決を目指すのが現実的です。
ステップ1:ゴミ屋敷の状況と被害を確認する
まずは、共用部やベランダの状況、臭いや害虫の発生状況、近隣からの苦情の件数を整理します。
前章で解説した記録をもとに、被害の範囲と深刻度を客観的に把握しましょう。
火災の危険が高い場合は消防署、衛生面の問題が大きい場合は保健所への相談も検討します。
ステップ2:口頭で片付け・改善を求める
いきなり書面を送るより、まずは入居者本人と話す機会を持つことが第一歩です。
入居者自身が問題の深刻さに気づいていなかったり、片付けたくても手が付けられなかったりするケースも少なくありません。
- 感情的にならず、近隣への影響など事実を伝える
- いつまでに、どの状態まで片付けるかを具体的に示す
- 話した日時と内容を必ず記録する
声かけをきっかけに、入居者が自分で片付けや業者への依頼を始めるケースもあります。
ステップ3:内容証明郵便で期限付きの改善を求める
口頭の注意で改善しない場合は、書面で改善を求めます。
内容証明郵便を使えば、いつ、どのような内容の文書を送ったかを日本郵便が証明してくれるため、後の裁判で有力な証拠になります。
配達証明を付ければ、相手に届いた日付も証明できます。
通知書には、次の内容を明記しましょう。
- 部屋の状況と、それによって生じている被害
- 改善を求める具体的な内容
- 改善の期限
- 期限までに改善されない場合は契約解除を検討する旨
費用は、定形郵便物(50gまで)で謄本1枚の場合、郵便料金110円に一般書留480円と内容証明480円が加わり1,070円です。
配達証明(350円)を付けると1,420円になります(日本郵便「内容証明 ご利用の条件等」)。
期限は、状況に応じて次のように段階的に設定するのが実務上の目安です。
| 対応内容 | 期限の目安 |
|---|---|
| ゴミの一次撤去(通路の確保など) | 1〜2週間 |
| 室内清掃の完了 | 2〜4週間 |
| 改善状況の再確認・最終通告 | 期限の約1週間後 |
文面は感情的な表現を避け、事実と要求を淡々と記載することが大切です。
ステップ4:話し合いによる任意退去を検討する
改善が見込めない場合でも、すぐに訴訟に進むのではなく、合意による退去(任意退去)を検討する価値があります。
訴訟や強制執行には数か月以上の期間と、弁護士費用や執行費用を含めて数十万円以上の費用がかかることも珍しくないためです。
入居者が経済的な困窮や心身の問題を抱えている場合、事情を聞くことで解決策が見えることもあります。
- 引っ越し費用の一部負担
- 退去期限の柔軟な設定
- 残置物の所有権放棄と処分方法の取り決め
合意できた内容は、必ず退去合意書として書面に残しましょう。
話し合いの際は、管理会社や弁護士など第三者に同席してもらうと、感情的な対立を避けやすくなります。
ステップ5:改善されない場合は賃貸借契約を解除する
改善要求や話し合いに応じない場合は、契約解除を検討します。
解除の通知も、内容証明郵便で送るのが一般的です。
解除が有効と認められるには、先に説明した「信頼関係の破壊」を裏付ける証拠が欠かせません。
| 準備する資料 | 内容 |
|---|---|
| 写真・動画 | 外観・共用部・ベランダなどの状況 |
| 苦情の記録 | 近隣住民からの苦情の日時と内容 |
| 通知書の控え | 改善要求・契約解除通知の内容証明郵便と配達証明 |
ステップ6:建物明渡請求訴訟を起こす
契約を解除しても入居者が退去しない場合は、裁判所に建物明渡請求訴訟を起こします。
訴訟では、契約解除の正当性とゴミ屋敷の状態が悪質であることを証拠によって示す必要があります。
事案によって異なりますが、判決まで数か月から半年程度かかることが多いため、弁護士への依頼を検討しましょう。
ステップ7:判決後も退去しない場合は強制執行を申し立てる
勝訴判決を得ても入居者が退去しない場合は、強制執行(不動産の明渡執行)を申し立てます。
申立先は物件の所在地を管轄する地方裁判所の執行官で、申立てには予納金が必要です。
予納金の額は裁判所や事案によって異なり、事件終了後に残額があれば返還されます(裁判所「不動産引渡(明渡)執行」)。
一般的には、執行官が入居者に「明渡しの催告」を行い、原則として催告から1か月後の期限に明渡しが実施されます。
室内の荷物の搬出・保管には運搬業者などの費用もかかるため、物量が多いゴミ屋敷では費用が高額になりやすい点に注意が必要です。
賃貸のゴミ屋敷に大家が対処するときのNG行為

早く解決したい気持ちから強引な手段に出ると、大家のほうが法的責任を問われかねません。
日本では、法的手続きによらずに自分の権利を実力で実現する「自力救済」は原則として禁止されています。
次の行為は必ず避けましょう。
大家の判断だけで部屋に立ち入る
合鍵を持っていても、入居者の同意なく部屋に入ると住居侵入罪(刑法130条)に問われるおそれがあります。
立ち入りが許されるのは、原則として入居者の同意がある場合です。
火災や漏水、入居者の安否が心配されるなど緊急の事態では、自己判断で入らず、警察や消防に連絡しましょう。
ゴミや家財を勝手に処分する
室内に残された物は、ゴミのように見えても入居者の所有物です。
無断で処分すれば、不法行為として損害賠償を請求されたり、器物損壊罪(刑法261条)に問われたりする可能性があります。
処分するには、入居者から所有権放棄の同意を書面でもらうか、強制執行など法的手続きを経る必要があります。
鍵を交換して締め出す・ライフラインを止める
契約が続いている限り、入居者には部屋に住む権利があります。
無断で鍵を交換して締め出したり、電気・ガス・水道を止めたりする行為は、自力救済にあたり違法と判断される可能性が高い行為です。
損害賠償を請求されるだけでなく、その後の裁判でも大家側が不利になりやすくなります。
強い表現の張り紙や感情的な退去要求をする
玄関ドアに「早く出て行け」といった張り紙をすると、名誉毀損やプライバシーの侵害と判断されるおそれがあります。
怒りに任せて退去を迫る言動も、脅迫や強要と受け取られるリスクがあります。
連絡は書面で事実と要求を簡潔に伝え、やり取りはすべて記録に残しましょう。
ゴミ屋敷の入居者が退去した後の片付け費用と原状回復

入居者が退去しても、大家の対応はそこで終わりではありません。
残置物の処分、清掃・消臭、原状回復工事、費用の精算を経て、ようやく次の入居者を募集できる状態になります。
残置物は所有権を確認してから処分する
退去後に残された家具や家電、ゴミも、所有権が入居者にある限り大家が勝手に処分することはできません。
任意退去の場合は、退去合意書に「残置物の所有権を放棄し、処分に同意する」旨を盛り込んでおくと、その後の作業がスムーズです。
入居者が亡くなった場合は、賃借権と残置物の所有権が相続人に引き継がれるため、相続人の同意が必要になります。
国土交通省と法務省は、単身高齢者の入居時に死後の契約解除や残置物の処理を受任者に託せる「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を策定しています(法務省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」)。
これから高齢の方を受け入れる場合は、契約時の活用を検討するとよいでしょう。
ゴミ屋敷の片付け費用の目安
ゴミ屋敷の片付け費用は、間取りよりもゴミの量と種類、搬出条件によって大きく変わります。
参考として、ゴミ屋敷ハンターの間取り別の料金目安は次のとおりです。
| 間取り | 料金目安(税込) |
|---|---|
| 1R・1K | 33,000円〜 |
| 1DK | 44,000円〜 |
| 1LDK | 55,000円〜 |
| 2DK | 88,000円〜 |
| 2LDK | 99,000円〜 |
| 3DK | 132,000円〜 |
ゴミの量が多い場合や、エレベーターのない上階からの搬出、家電リサイクル対象品の処分がある場合は、追加の費用がかかります。
正確な金額は、現地での見積もりで確認しましょう(ゴミ屋敷ハンターの料金表)。
害虫駆除・消臭・特殊清掃を行う
長期間ゴミがたまっていた部屋では、ゴミを撤去しただけでは臭いや害虫が残ります。
次の作業を順番に進めることで、再発や隣室への被害を防げます。
| 作業内容 | 目的 |
|---|---|
| 害虫駆除 | ゴキブリやダニ、ハエなどの繁殖源をなくす |
| 除菌・清掃 | 害虫の死骸やフン、カビなどの汚れを取り除く |
| 消臭 | オゾン脱臭機や薬剤で、壁や床に染み込んだ臭いの原因を分解する |
ネズミなどの害獣の被害が大きい場合は、駆除の専門業者と連携して対応することもあります。
片付け業者を選ぶときのポイント
退去後の片付けは物量が多いため、専門業者に依頼するのが現実的です。
業者を選ぶ際は、次の点を確認しましょう。
- 見積もりの内訳が明確で、追加料金の条件が説明されているか
- 家庭から出るゴミを、一般廃棄物収集運搬業の許可業者が処理する体制か(自社許可または許可業者との提携)
- 買取を行う場合、古物商許可を取得しているか
- 消臭・害虫駆除・ハウスクリーニングまで対応できるか
家庭の不用品を回収・処分するには、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が必要です。
許可のない業者に依頼すると不法投棄などのトラブルに巻き込まれるおそれがあるため、処分ルートを必ず確認しましょう。
原状回復費用は誰が負担する?
原状回復の費用負担は、「通常の使用による損耗」か「借主の故意・過失や通常を超える使用による損耗」かで分かれます。
2020年4月施行の改正民法では、通常損耗や経年変化について借主は原状回復義務を負わないことが明記されました(民法621条)。
一方、ゴミの放置による床の腐食や臭いの染み込みは、通常の使用を超える損耗として借主の負担になると判断されることが多いものです。
| 損耗の内容 | 主な負担者 |
|---|---|
| 日焼けや経年による壁紙の変色 | 大家 |
| ゴミの放置による床材の腐食・シミ | 入居者 |
| 臭いの染み込みによる壁紙の張り替え | 入居者 |
| 害虫駆除・消臭・特殊清掃 | 入居者(通常の使用を超える場合) |
ただし、入居者の負担となる場合でも、壁紙などは経過年数に応じて負担割合が下がる考え方がとられます。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、壁紙(クロス)は耐用年数6年で残存価値が1円になる形で負担を考えるとされています。
費用の区分に迷う場合は、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を確認しておきましょう。
敷金を精算し、不足分を請求する
原状回復費用と残置物の撤去費用が確定したら、敷金と精算します。
敷金で足りない場合は、入居者に不足分を請求します。
- 費用の内訳と、入居者負担とした理由を明記する
- 損傷箇所の写真と見積書・請求書を保管する
- 連絡がつかない場合は内容証明郵便で請求する
連帯保証人や家賃保証会社がいる場合は、保証の範囲内で請求できることがあります。
なお、2020年4月以降に結ばれた契約で個人が連帯保証人になっている場合、保証の上限額(極度額)の定めがなければ保証契約は無効になるため、契約書を確認しておきましょう。
賃貸アパートのゴミ屋敷化を防ぐために大家ができること

ゴミ屋敷問題は、発生してから対応するより、未然に防ぐほうが大家の負担ははるかに小さく済みます。
契約時と入居後、それぞれでできる対策を押さえておきましょう。
賃貸借契約書にゴミ・衛生管理のルールを設ける
契約時に、ゴミの分別・排出ルールや室内を衛生的に保つ義務を特約として明記しておくと、問題が起きたときに改善を求める根拠になります。
- ゴミの分別・排出ルールを守ること
- 室内を衛生的に保ち、悪臭や害虫を発生させないこと
- 違反が続いた場合の対応(契約解除を含む)
条項を作る際は、国土交通省の賃貸住宅標準契約書をひな形として参考にするとよいでしょう。
ゴミ置き場・共用部を定期的に確認する
ゴミ置き場や郵便受けは、入居者の生活の変化が表れやすい場所です。
月に1回程度でも巡回し、次のような変化がないか確認しましょう。
- 特定の部屋のゴミの出し方が乱れている
- 郵便受けに郵便物やチラシがたまっている
- ベランダに物があふれている、窓が長期間閉め切られている
- 玄関付近から異臭がする
共用部からの確認であれば、入居者のプライバシーを侵害することはありません。
巡回した日と気づいた点を記録しておけば、トラブルが起きた際の証拠にもなります。
管理会社と情報を共有し、異変には早めに声をかける
管理会社に委託している場合は、苦情や異変の情報をすぐに共有できる体制を整えておきましょう。
異変に気づいたら、まずは「お変わりありませんか」と声をかけ、状況を確認することが大切です。
入居者が認知症や心身の不調、いわゆるセルフネグレクトの状態にある場合、注意だけでは解決しないこともあります。
そのような場合は、自治体の福祉窓口や地域包括支援センターと連携することも検討しましょう。
まとめ
賃貸アパートがゴミ屋敷になっても、大家が独断で部屋に入ったり荷物を処分したりすることはできません。
記録を残し、口頭と書面で改善を求め、それでも解決しない場合に契約解除や明渡請求訴訟へと、段階を踏んで進めることが大切です。
多くのケースは話し合いの段階で解決するため、早めの声かけと記録が問題を大きくしないための鍵になります。
退去後は、残置物の所有権を確認したうえで片付けと原状回復を行い、費用は原状回復ガイドラインに沿って公正に精算しましょう。
アパートのゴミ屋敷の片付けは「ゴミ屋敷ハンター」へ
「入居者は退去したものの、部屋がゴミだらけで手が付けられない」「次の入居者募集までに急いで片付けたい」という大家さん・管理会社さまは、ゴミ屋敷ハンターにご相談ください。
ゴミ屋敷ハンターは、東京・千葉・埼玉・神奈川・茨城・宮城で、ゴミ屋敷の片付けや不用品回収、遺品整理、ハウスクリーニングまでワンストップで対応しています。
回収した不用品は一般廃棄物収集運搬業の許可業者と提携して適正に処理し、古物商許可にもとづく買取で費用を抑えるご提案も可能です。
現地見積もり後の追加料金は発生しないため、原状回復費用の見通しも立てやすくなります。
お見積もり・ご相談は無料です。
お電話(0120-369-062/365日24時間受付)、またはゴミ屋敷ハンター公式サイトのフォームからお気軽にお問い合わせください。 対応地域は対応エリアのページ、サービス内容はサービス案内からご確認いただけます。